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彼は私のトモダチである-日本国首相に今やってほしい2つのこと② [統治論]

安倍首相は日本時間12月28日、オバマ大統領と共に米国ハワイの真珠湾を訪れ、第二次世界大戦下の旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊した。

安倍首相は慰霊後の演説で、米国国民たちがかつての敵である日本国国民に対して、戦後大いなる「寛容の心」(the spirit of tolerance)をもって接してくれたことの意義を説いた。

日本国国民が焼け野原の中で何とか生き延びることができたのは、アメリカの人たちが日本の人たちにミルクとセーターを送ってくれたおかげである。また日本国が国際社会に復帰する道を開いてくれた上に、平和と繁栄を享受できるようにしてくれた、これはアメリカのリーダーシップによるものだ。

あの「パールハーバー」から75年。激しい戦争をしたアメリカと日本は歴史的にも稀な深くて強い絆で結ばれた同盟国になった。この同盟は未来を拓く「希望の同盟」(alliance of hope)である。日米両国を結び付けたものは「寛容の心」からもたらされる「和解の力」(the power of reconciliation)である。

安倍首相はこう、「美しく」戦後の日米関係を総括した。

この式典は「核なき世界」を提唱するオバマ米国大統領にとっても、「戦後レジームからの脱却」を提唱する安倍日本国首相にとっても、政治外交上の「レガシー」(遺産)としての意味付けができる。

オバマ大統領にとっては自分の花道に相応しい式典だろう。

安倍首相にとっては日米同盟が深化をとげ、「希望の同盟」となったのはある意味
「戦後レジームからの脱却」なのだと強弁できる。


し、しか~し、ちょっと待った ヾ(・ω・`ヾ))) マッテェェェェェ・・・


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アメリカでは、東日本大震災で「トモダチ作戦」に従事した兵士たちの中で、健康を害し、死んでしまったり、職を離れざるをえなくなった人たちが出てきているようだ。

震災当時、「トモダチ作戦」で福島原発の沖合に駆けつけてけていた空母「ロナルドレーガン」が放射線被曝し、乗組員兵士たちに甲状腺がん、下血など深刻な健康被害が出ているというのだ。

「ロナルドレーガン」の乗組員8名は2012年12月、原発事故の状況に関して適切な情報の開示がないまま、放射線被曝の被害に遭ったとして、東京電力に総額1億1000万ドルの損害賠償を求める訴訟を米国連邦地裁に起こした。その後原告に加わる元兵士は増えて2016年5月には400名を超えたという。

この事実は日本国では知られていない。

話を伝え聞いた小泉元首相が米国カリフォルニアのサンディエゴまで出向き、被害者の元兵士たちの話を直接に聞き、「これだけ日本のために救援活動に全力を尽くしている兵士の皆さまが、重い病気で苦しんでいる、またこれからの生活を思い悩んでいるのを聞いて、ただ聞いただけで済ますわけにはいかないだろう、この状況を見過ごすわけにはいかないと考えました。ぜひ日本の国民やアメリカの国民に知ってもらわないといけないということを痛感しました。」となり、記者会見の模様のダイジェストが日本の報道ニュースで流れた。

記者会見→ https://www.youtube.com/watch?v=dtaOuV4B2qQ 
(2016年5月17日、カリフォルニア)


これは現在進行中の問題である。


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一方「トモダチ作戦」(Operation Tomodachi)は日米安全保障条約の大きな法的枠組みの中で、東日本大震災という「有事」にアメリカの軍隊と日本の自衛隊が相互に連携して、災害対応活動を展開した“広義の”軍事作戦という性格をもっている。

ロナルドレーガンは米韓合同の軍事演習のため西太平洋を航行中のところ、緊急に立ち上がった米国海軍・空軍・海兵隊混成の統合支援部隊(Joint Support Force)の司令部から命令を受けて、急遽日本国の東北沖に向かったのだ。そしてロナルドレーガンの乗組員をはじめとしたアメリカ軍兵士が「トモダチ作戦」のさまざまな実務を担うことになったのだ。

この一連の活動には、当然に日本国側の要請があるはずだし、アメリカ側も日米同盟の具体的な展開として執り行っているはずだ。

しかれば、日本国首相はこう言うべきだろう。

曰く、「トモダチ作戦での貴国の若い兵士たちの献身的なご支援には心から感謝しております。ご恩は一生忘れません。ところで貴国の兵士の中で、任務遂行中に放射線被曝して健康を損なっている方々がいらっしゃることを聞きました。わが国では原発事故による放射線被曝の健康被害を専門に研究するプロジェクトチームを立ち上げますから、ぜひご相談ください。因果関係が立証される被害につきましては、その治療、生活の補償に関しましてできうる限りのことをさせていただく用意があります。」

他方、わが国の原子力発電は「国策」として推進されてきたことは否定できない。その意味でも「トモダチ作戦」の被曝アメリカ兵が起こしている集団訴訟に対しては「国家」として向き合うべきである。

住民への補償や除染で経営体力を落としている一企業体-東京電力-を被告人席に座らせて良いのか?(わが国エネルギーインフラを担う重要な企業である)今後の「国策」として一体どうなのか?

よく考えた方がいい。「希望の同盟」(alliance of hope)のためにもね。


※「トモダチ作戦」についてはwikipedia.を参照しました。



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