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東京都はブレーキとアクセルを踏み間違えたのではないだろうか?-ばいきんまん会議⑤ [防疫論]

日本国政府は4月25日から5月11日の期間で発令中の東京都、大阪府、兵庫県、京都府の緊急事態宣言を5月31日まで延長することを決定。同時に感染が拡大している愛知県、福岡県を5月12日~5月31日の期間で宣言地域に追加した。さらに本日5月14日、北海道・広島県・岡山県も宣言地域に追加することを緊急決定。発令期間は5月16日~31日となる。

今般の宣言期間延長に際しては、三回目の宣言から始まった酒類提供飲食店、カラオケ提供店への休業要請を継続することに加え、酒類の店内持ち込みを認めて営業していた飲食店も休業要請の対象に追加した。路上や公園での集団飲酒に対しては、宣言下の自治体に引き続き注意喚起を促すことを求めた。一方で建物床面積1000㎡以上の百貨店、ショッピングセンター、映画館、スポーツクラブ等の商業施設に対する休業要請は、午後8時までの営業時間の短縮要請へと緩和した。原則無観客としてきた大規模イベントに関しては、5000人か収容率50%のいずれか少ない方を上限に観客の収容を認めることにした。

行政サイドの要請は袋小路に入りまくり、出口がどこなのかもわからなくなってきた。飲食店連合は「(要請の)科学的根拠を示せ」と声を上げている。民度の高さを誇る(!?)日本国住民もさすがにざわついている。

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皆言いたいことはあるだろう。

私としては今回の緊急事態宣言下、あきらかにおかしな施策が行われたので、そのことについてここで触れておこう。

大阪でコロナの変異株の感染が先行して拡がりだす中、危機感を持った東京都は、国土交通省と鉄道事業各社に対して、4月29日~5月9日の大型連休期間中の減便や、土日ダイヤの適用などの取組みを要請した。要請を受けて鉄道事業各社は期間中、運転を間引くダイヤに変更した。

そしてちょうど期間中の後半、平日にあたる5月6日は多くの会社で実質的な連休明け、業務再開のタイミングとなったようで、東京の主要駅で朝の出勤ラッシュが起きていることがニュースとなった。

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東京都の鉄道事業者に対する要請は、本当に人流の抑制を狙いとしたものだったのだろうか?
もしそうだとすれば、施策として【真逆】ではないだろうか?

人と人との接触機会を7割とか8割減らすというのが、最初に言われていた感染防止策であった。

この点を今一度素朴に考えてみよう。

コロナウイルスの飛沫感染を防ぐには《単位容積あたりのウイルス・エアロゾル》をできる限り少なくすることだ。感染は人の往来が多く、人と人とが密に接触する機会が多い大都市部から拡がっているし、クラスターは介護施設や病院など人と人との接触が密な施設で発生するケースが多い。人と人との物理的な距離(Physical Distance)を保ちにくい環境が問題となるのだ。このことから《単位容積あたりのウイルス・エアロゾル》を意識し、これをしっかり制御することが大事だということは、容易に理解できる。

したがって、行政サイドが鉄道会社に要請することは、運行本数を減らさせることではなく、むしろ不要不急な外出を控えさせてもなお通勤が必要な医療従事者、その他エッセンシャルワーカー、通学者、通院患者等の人流予測を割り出して、その人流予測に見合った運行本数を維持させることである。同時に電車内や駅構内の《密》状態を避けるための鉄道会社の取組み、各種のPhysical Distance施策を支援し、そのために追加費用がかかる場合は、必要な財政措置を講じてやることだ。また鉄道事業者は緊急事態宣言下の人流抑制施策で乗車率が低下し、運賃収入が激減している。営利企業として生き残りのため減便をしてキャッシュアウトを少しでも止めたいという動機を持つのは当然である。行政サイドは鉄道会社の一時国有化や公営化をも視野に入れた財政支援の仕組みを作ってあげるべきだ。

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いずれにせよ東京都の鉄道会社に対する減便要請は理解に苦しむ。

強いて施策の意味合いを推察すると、事前に減便ダイヤをアナウンスすることで、人びとのGW期間中の外出意欲や事業者の営業意欲を削ぐことを狙いとしたのか?つまり「ゴールデンウィークは5月9日まで特別ダイヤで不便だし、取引先もお休みにしていそうだから休むか?」という認識を持ってもらうという狙いだ。ただこれは移ろいやすい人の気持ちに依存しており、実効性があるのか?はなはだ疑問である。

東京都首長の一知半解からきた(と思われる)減便要請は、優秀な都職員が諫めて取り下げるべきだ。あるいは鉄道運行の監督責任を負う国土交通省が見識を持ってはねつけるべきだ。

しかしそうならなかった。

連日のコロナ対策、皆会議、会議で疲れ切っているのかもしれない。

どうか十分に睡眠をとってください。健全なアイデアは(睡眠の足りた)健全な肉体に宿ります。


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