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電気料金はどうやって決まるのか?-原発ってそういうものだったのか会議⑤ [電力論]

わが国の電気料金はどのように決まるのか?

実は「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」(電気事業法第19条)を条件として、国が許可して決まるのだ。

これは発電所や送電設備の建設費用、保守・メンテナンス費用、原料費(ウラン、原油、石炭etc.)から運営にかかわる人間の人件費etc.にいたるまで、発電にかかったコストを積み上げて「総括原価」として算出し、これに一定の報酬率(=利益)を上乗せして電気料金を決めなさいと、(驚くなかれ)国が事業者の利益を予め法律で保証してあげているということなのだ!

わが国では第二次世界大戦後、国家統制下にあった電力事業が再編制され、9つの地域電力会社が生まれた。地域電力会社は民間資本の会社でありながら、国の規制・保護を受けながら、積極的な設備投資を行って自らの利益を増大させる法的な基盤があったのだ。

背景には、戦後の焼け野原から時間をかけずに、社会のインフラとしての電力供給を全国あまねく公平に、かつ安定的に行って、産業振興と国民生活の向上を図ろうという「国家の意志」(≒時の政治家や官僚の総意)があって、このようなスキームができたと見るべきだろう。〔もっともこの点、反原発の急先鋒・京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は電力会社に原子力発電をやらせることによって、核兵器を開発する技術的能力をわが日本国が平和裡に保有するという隠れた思惑を指摘している。(小出裕章『原発はいらない』ほか) このことはまた別の機会に触れてみたい。〕

いずれにせよ、戦後の歴史においてそれなりの意味があった「総括原価方式」であったが、福島原発事故以降に生きるわれわれにとってはゼロベースで見直すべき仕組みである。

東電の料金、高めに原価設定か?(9月6日 朝日新聞)
東電の電気料金算定根拠見直す必要(9月6日 読売新聞)

設備投資から人件費まで、コストはなるべく高めに申請するにこしたことはないとの考え方が電力会社側にあるのだろう。これは企業倫理云々の話ではない。コストが利益に直結する、この仕組みが問題なのだ。

とにかく仕組みを抜本から見直して、ゼロベースから「あるべき」現在の仕組みを構築すること
 -これは政治の仕事ですぞ。


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